相続と養子

相続と養子


養子縁組とは、血縁の上では親子でない者を人為的に法律上の親子としてしまう制度です。日本では普通養子と特別養子の2つの制度があります。
養子縁組をした親子の間には当然相続が発生します。法律上は、嫡出子(実子)も養子も子であることには代わりませんので、同じ順位、同じ額を相続できます。
普通養子の場合、子は実親との親子関係もありますので、養親、実親の両方の財産を相続する権利があります。
一方で、特別養子は実親との親子関係が切れてしまうため、養親の財産を相続する権利しかありません。

ところで、親同士が再婚した連れ子には再婚相手の財産を相続する権利が自然に発生すると思われているのですが、そうではありません。
再婚相手と連れ子の間には法律上の親子関係はありません。もし、連れ子にも相続権を与えたい場合は、その子と養子縁組してください。

この他、義理の親子関係にも相続は発生しません。

相続と内縁

相続権が認められるのは法律上の配偶者だけです。
つまり、婚姻届を提出していない事実婚の夫婦にはお互いに相続権はありません。たとえ結婚式を挙げ、長い間生活を共にしていたとしてもです。
さらに、内縁関係にあった妻がどんなに亡くなった夫の財産の維持や増加に貢献したとしても、相続人ではないので寄与分も認めてもらえません。

もしも、あなたが内縁の妻に財産を残してあげようと思ったら、生前贈与を行うか、遺言をして遺贈するかのどちらかをしなければなりません。
しかし、生前贈与は多額の贈与税がかかり、遺贈の場合は法定相続人から遺留分減殺請求を受ける可能性があるため、全部の財産を残すことは難しいと思ってください。
なお、生命保険金は原則相続財産ではなく、受取人の固有の権利ですので、内縁の妻を受取人にしておけば、法定相続人から遺留分の減殺請求を受けたりせずにすみます。

この他、民法では、被相続人に相続人がいないような場合には、被相続人と特別の縁故関係にあった者は、家庭裁判所に申し立てることで、相続財産の全部または一部を請求することができる制度を用意しています(958条の3)。
ここでいう特別縁故者とは、被相続人と生計を一にしていた者、被相続人の療養看護に努めた者、その他被相続人と特別の縁故にあった者をいうとされていて、内縁の配偶者も当然含まれます。
ただし、財産を受け取ることができるかどうかは家庭裁判所の判断によりますので、やはり一番いいのは遺贈であると思います。

当事務所は相続・遺言・遺産分割・家庭裁判所への申し立て等多数の家事事件を取り扱っておりますので、お気軽にご相談ください。