銀行口座・郵便貯金(ゆうちょ)

目次

1.銀行預金の処理方法
2.貸金庫の処理方法
3.ゆうちょ銀行の処理方法
4.故人名義の財産の処理での注意点

1.銀行預金の処理方法

市区町村役所に死亡届を提出すると、「住民基本台帳ネットワーク」を通して、年金関連団体も情報を共有することになり、相続人に「年金受給権消滅の手続きをしていただくよう、書類を送付しました」といった通知が来ます。

故人の口座の凍結

故人名義の預貯金口座も凍結されるのが一般的です。
こちらは市区町村役所からの情報によるものではなく、銀行や郵便局など金融機関が独白に判断しています。
のちのち相続でもめたときに、その渦中に巻き込まれたくないという金融機関の意向も含めて、遺産保全のための措置です。
あるいは、相続の手続きを行なうことを金融機関の取引支店窓口に申し出ると、これ以降、故人の口座は凍結されます。
凍結された故人の口座の預貯金は、一連の手続きを経て、相続人の口座に入金されることになります。

手続きに必要な期間

銀行の場合、受付から必要書類などの案内が郵送されてくるまでおよそ1週間、必要書類提出から入金まで1週間かかります。
さらに、必要書類の準備も加わるので、手続きの完了までには
1か月はみておいた方がいいでしょう。

相続手続きを簡便にしたい場合は

凍結された故人の口座の預貯金は、いわゆる相続確定後に引き出すなり名義書換えをするなど処分が可能になります。
相続のための方法はおおよそ以下の①~⑦に分かれます。

◆相続の方法
①遺産分割協議書がなく、遺言書もない
②遺産分割協議書がある
③遺言書がある(遺言執行者がいる)
④遺言書がある(遺言執行者がいない)
⑤裁判所による遺産分割審判
⑥限定承認または相続財産管理人がいる
⑦信託銀行に遺産整理委任契約をしている

この中で、早期に停止措置を解除できる方法を紹介しておきましょう。
遺言書の有無などによって銀行から求められる書類は異なってきますが、必要とされる書類や記入事項が少なくてすむのは、①の「遺産分割協議書がなく、遺言書もない」とした場合です。
この申し出も、相続人全員が署名、押印する必要があるなど、実質的には相続に関する手続きになりますが、とりあえず故人の預貯金を引き出したい、口座の名義変更をしたいといった場合は「遺言書がなく、分割協議書もない」として金融機関に手続きを申し出るのもいいでしょう。
特に、円満な相続が予想される場合では、この方法によれば手間も時間も省けます。
相続代表者の口座に一括して振り込み、あとから相続に従って分配することも可能です。

相続手続きに欠かせない戸籍謄本

故人の銀行口座の凍結解除など、相続手続きに必要な書類の代表は戸籍謄本です。
特に故人については、「出生から死亡までの連続したもの」を求められます。
これは相続人を確認するためです。
故人が転籍(本籍地の異動)している場合は、改製原戸籍が必要不可欠で、特に故人が母親の場合は、生まれてから結婚までのものが必要になるのが一般的です。
また、故人の現在の戸籍謄本には、婚姻などで転籍した人は記載されていません。
そのため、故人の子どもなどで、新しい戸籍をつくっている人は、自分の現在の戸籍謄本も添付することになります。

相続人の署名・押印が必要

相続書類には、各相続人それぞれの自署、実印での押印が必要です。
その際、印鑑証明書も添付しますが、発行より6か月以内、あるいは3か月以内といった条件がつくので、注意してください。
また、戸籍謄本は原本を持参することになりますが、できる限り原本の返却を申し出るようにしましょう。
戸籍謄本を取得するための手数料を節約することができます。

凍結解除までの流れ

1.  故人がどの金融機関と取引していたのか確認 (取引支店窓口に申し出る。これ以降、故人の□座は凍結されます)
2. 
金融機関に手続きを進めるための必要書類を案内してもらう(受付からおよそ1週間)
3. れぞれの金融機関から郵送されてきた書類に目を通し、戸籍謄本や印鑑証明書など添付しなければならない書類の種類と必要枚数を確認し必要書類の手配
4. 相続人全員に添付に必要な書類を揃えてもらう
5. 必要書類を 郵送なり金融機関に直接出向く(取引支店窓□へ)
6. 必要書類事項の確認(銀行側)
7. 手続き完了(5からおよそ1週間で相続人口座へ振込み)



2.貸金庫の処理


金融機関の貸金庫を利用していた場合も、死亡確認と同時に閉鎖されます。
貸金庫の中身も遺産の一部になり、相続人による共有の扱いになるからです。
貸金庫を開けるための手続きは、預貯金口座の閉鎖を解除するための手続きと同じです。
相続人による全員の同意があれば、比較的簡単に開けることができます。
もっとも、貸金庫は本人の鍵と金融機関の鍵がないと開けられないシステムになっています。
中身を知っているのは本人のみで、金融機関の担当者もわからないようになっています。
預貯金の通帳や株券、不動産の権利証ばかりでなく、遺言書が存在しないともかぎりませんので、必ず早めに確認しておきましよう。



3.郵便貯金(ゆうちょ銀行)の処理


※郵便貯金については、郵便局が2007年に民営化され、ゆうちよ銀行が業務を引き継いでいます。
故人の郵便貯金の払い戻し、または名義書換えなど、相続手続きに必要な書類は、基本的に銀行の場合と同じです。
「遺言書がない場合」と「遺言書がある場合」で、手続きや求められる書類が分かれます。

郵便貯金の手続きも基本的には銀行と同じです

郵便貯金の場合も、相続の方法として「遺言書がなく、遺産分割協議書もない」とするのがもっとも簡便です。
その場合、代表相続人を決め、その本人が窓口に出向き、手続きを行います(代理認可)。
運転免許証や健康保険証など、本人確認ができる資料を持参しましょう。
代理人の場合は、代理人と代表相続人との関係を明らかにできる書類が必要になります。
なお、郵便貯金の整理には、銀行と同様に、窓口での手続き完了後、1週間程度かかります。

貯金照会で口座を調査

自宅に保管してある故人の貯金通帳や貯金証書以外にも、郵便貯金が存在している可能性もあるので、「貯金照会書(兼回答書)」を提出し、調査してもらいましょう。

相続に必要な書類など(遺言書なし・分割協議書なしの場合)

1. 相続人全員が自署、捺印した相続届
2. 故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本(改製原戸籍を含む)
3. 相続人全員の戸籍謄本(1.で確認できる場合は不要の場合もある)
4. 相続届に署名捺印した全員の印鑑証明書
5. 故人(被相続人)\名義の通帳・証書・キャッシュカード


※遺言書がある場合は検認済みの遺言書または公正証書遺言書の原本が必要となります。
※遺産分割協議後の場合は遺産分割協議書及び相続人全員の印鑑証明書が必要となると思われます。
詳しくはお近くのゆうちょにお問い合わせください。

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4.故人名義の財産の処理での注意点


悲しみを感じることを忘れるほど何かと気ぜわしかった葬儀からしばらく時問がたつと、今までそこにいた人がいなくなった現実にあらためて気づかされ、遺族は新たな悲しみや寂しさを実感するものです。
ですが実際には、葬儀後しばらくしてからが「死後手続き」の本番。
故人名義の預貯金や株券、マイカー、マイホームなどの処理をしていくことになります。
故人がゴルフやリゾートの会員権などを持っていたら、その処理も進めることになります。

故人名義の預貯金の処理や各種名義変更など、死後少し落ち着いてきたらやらなければならない手続きについて説明します。
まずは手続きを進める前の準備段階での注意点を説明しておきましょう。

戸籍謄本や印鑑証明書などの必要枚数を確認する

銀行や証券会社、郵便局(ゆうちよ銀行)などに必要書類を提出する際、必ずといっていいほど戸籍謄本や印鑑証明書などの添付を求められます。
いわゆる「相続のための一連の戸籍セット」です。
特に、故人の生まれてから死ぬまでの連続した戸籍謄本は欠かせません。
最低限必要な枚数を確認したら、この戸籍セットは、1、2セット余分に用意しておいた方がいいでしょう。
本籍地と離れた場所に現住所がある人が相続人の中に含まれている場合、その人は遠方の市区町村役所と郵便でやりとりすることが多く、「もう1通必要だった」などとなると二度手間になるからです。
また、印鑑証明書や戸籍謄本は発行から「3か月以内」「6か月以内」という条件がつくのが基本ですので、その点にも注意してください。
なお、戸籍謄本や除籍謄本を何通も取ると、意外に手数料がかかるので、可能であればコピーで対応すべきです。
また、可能であれば返却してもらい、他に流用すれば、手数料の節約になります。

金融機関の処理

故人がどの金融機関と取引をしていたかを確認した後、必要と判断したら、それぞれの金融機関に「残高証明書」を発行してもらうのもいいでしょう。
たとえば、外貨預金や定期預金などは通帳がなかったりします。
また、銀行では、投資信託の販売をしていますが、その投資信託を買ったとしても通帳はなく、計算書などが定期的に郵送されてくるだけです。
そうした、通帳では確認しづらい故人資産をはっきりさせるためにも残高証明は欠かせません。

金融機関は戸籍謄本を求めます。

なお、残高証明を取得するためには、取りに行く相続人と故人の関係が証明できるものが必要になります。
たとえば、相続人と被相続人が同居していた場合は、故人の戸籍謄本(除籍謄本)と本人が確認できるもの(免許証など)、実印、印鑑証明書が必要になります。
相続人と故人が同居していない場合は、それらに加えて相続人の戸籍謄本が必要になります。
事前に金融機関へ問い合わせておきましょう。
郵便局の場合は、全国の郵便局に預金がないかを確認することも必要になります。
配当金が出ていれば通帳で確認できたりしますが、無配当の場合は、信用金庫や信用組合、農協、漁協などに出資金があるかどうかを確かめる必要もあります。

残高証明書のミスに注意

なお、残高証明は、それを発行する金融機関のミスが多いのも現実です。
あるはずの外貨預金が「ない」とされたり、証券会社においては、相続人名義のものが故人名義のものとされたりするケースもあります。
残高証明のミスをそのまま見過ごすと、それに基づいて作成した相続申告が結果的に誤りになり、修正申告をしなければならないといった事態も起こりえます。
残高証明を取得したら、必ず再確認をしましょう。



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