特別縁故者

特別縁故者を考える前に


どなたかが死亡なさると相続が開始します。そのとき相続人がみあたらないことを「相続人不存在」といいます。相続人が明らかでないと、財産の帰属先が問題です。
お子さんのいない方、入籍していない事実上のご夫婦などは、周囲の方が相続財産の帰属先に困らないよう、遺言書を作って財産の行方を指定しておくとよいと思います。
親しい方、お世話になった方、縁のあった方など、自分の遺産を誰に何割とか、誰に何をというように指定しておく方法があります。



利害関係人≠特別縁故者


相続人も明らかでなく、遺言書もない場合、「利害関係人」がいるかどうかが重要です。
利害関係人とは、簡単にいいますと、その死亡した人に何らかの請求をする権利を持った人とか、生前、特別な関係にあったために相続人に準じて財産をもらえるのではないかという人です。
利害関係人のうち、相続人と同然だと認められれば財産をもらえます。逆に、認められなければもらえません。
相続人と同然とみられる人を「特別縁故者」といいます。
誰ももらう人がいなければ、国庫に帰属します。



特別縁故者

相続人ではないですが、内縁の妻や事実上の養子、献身的に被相続人の世話をした方などの申し立てによって相続財産を分与する制度が特別縁故者の制度です。
特別縁故者の制度は、下記手続きの相続人不存在の確定後、相続財産管理人による清算手続きをしても相続財産が残っていた場合に利用することができます。

この特別縁故者は、以下の方で家庭裁判所によって認められらければなりません。

被相続人と生計を同じくしていた者

内縁の配偶者や事実上の養子、同居の相続人でない親族、嫁など、家族として生活を営みながら相続人とならない人です。

被相続人の療養看護に努めていた者

生計を同じくしていなかったが、献身的に療養看護に尽くした親族・知人・隣人などです。

その他被相続人と特別の縁故があった者

前記に準じるほど被相続人と精神的や物資的な交渉があった人です。


特別縁故者による財産分与

特別縁故者に財産分与をするためには、申し立ての手続きをすることが必要です。
この申し立ては、下記相続人不存在の手続きの相続人捜索の公告期間満了後3ヶ月間に限られます。
家庭裁判所は申し立てを受けると、財産分与が相当か、相当なときその程度・内容を決定します。

相続人が不在の時の流れ(終了まで1年ほどかかります)

管轄家庭裁判所への申立て

相続人がいない旨を被相続人の住所地を管轄している裁判所に申し立てを行います。

相続財産法人の形成

相続人が明らかになるまでの間、相続財産を一種の財団法人として考えて、家庭裁判所が選任した相続財産管理人が相続財産を管理します。
家庭裁判所が相続財産管理人の選任の審判、就職の公告をして、相続人の出現を促します。
前記公告後2ヶ月以内に相続人が出現しないときは、相続財産管理人は家庭裁判所の監督のもとに清算手続に入ります。


家庭裁判所による相続人捜索の公告


その後も相続人が明らかにならないときは相続財産管理人・検察官の請求により、家庭裁判所は相続人捜索の公告をします。

相続人不存在の確定

前記公告期間内に相続権を主張する者が現れないときは相続人不存在が確定します。

特別縁故者への相続財産の分与

公告期間経過後3ヶ月以内に特別縁故者からの請求があれば、家庭裁判所は相続財産をその者に分与することができます。


国庫へ帰属


相続財産に残余があるときは、国庫に帰属します。


【報酬及び費用】


・当事務所の報酬
  • (1) 特別縁故者の財産分与手続き一式 ..... 216,000円(税込)
  • (2) 日当 ..... 10,800円(税込)~
  • (3) 戸籍等の取得 ..... 1通につき 1,080円(税込)
・費用
収入印紙800円と連絡用の郵便切手(申立てをする家庭裁判所により異なります。)等の実費が必要となります。

遺言作成の必要性

特別縁故者が認められるとしても、上記の手続きには1年以上かかります。精神的にも負担になりますから、遺言書を書いておいてあげた方が親切でしょう。
当事務所の特別縁故者の申立書の作成・遺言書の作成のサポートをしております。
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当事務所は相続・遺言・遺産分割・家庭裁判所への申し立て等多数の家事事件を取り扱っておりますので、お気軽にご相談ください。