遺言の作成

プラモデルでもそうですが、モノを完成させるには「設計図」が必要です。遺言作りでも同じことがいえます。設計図もなしに遺言書を書こうとするのは無謀です。ここでは、遺言書を作るにはどうすればいいのかをご紹介します。

法定相続人がだれかを把握する


遺産分割のところでも書きましたが、遺言書を作る際も自分の「法定相続人」が誰なのかを把握する必要があります。その理由は、遺留分の問題があるからです。いくら遺言書を書けば、自分の思い通りの財産分配が可能だといっても、遺留分を無視するわけにはいきません。配偶者や子には「法定相続分の2分の1」、親などの直系尊属には「3分の1」の遺留分があります。この点に留意して遺言書作りにとりかからなければなりません。
また、現在の家族とは別に子どもがいるような場合、その子も相続人となりますので、この点も忘れないようにしなければなりません。
法定相続人を具体的に把握するには、自分の生まれてからの戸籍謄本を取得する必要があります。また、遺贈をするつもりであれば、受遺者の住所、氏名等がわかる住民票を取り寄せる必要があります。

財産目録をつくる

自分の法定相続人が誰であるか特定できたら、今度は自分が所有する財産にどのようなものがあるか整理しましょう。なぜなら、遺言書は正確につくることが大前提だからです。遺言書の内容に間違いがあれば、それはすなわち相続手続きにトラブルが生じる可能性があると思ってください。
財産には不動産、預貯金、有価証券、自動車、権利など様々なものがありますので、それらを1つ1つリストアップします。借金などの負債についても同様です。
財産の種類財産目録に記載する内容作成に必要な書類
土地、建物、
農地、山林
所在、地積、建物面積、地目、用途、現況など。賃貸物件の場合は賃借人の氏名や賃料など賃貸条件。借地・借家の場合は地主や家主の氏名や賃料など賃借条件。登記事項証明書
(登記簿謄本)
公図
固定資産税評価証明
賃貸借契約書
預貯金、債券金融機関名、支店名、普通、定期など種別、口座番号、名義人、残高。
債券は保護預りのものと無記名のものに分ける。
預貯金の通帳類
銀行印
無記名債券の現物
株式銘柄、株数など株券
預り証
自動車車種、年式、ナンバー、車台番号など車検証
自動車保険の証券
ゴルフ会員権施設名、購入価格会員権証書
購入時の領収書など
書画、骨とう作品名、作者名保管証など
特許権などの知的財産権各権利の名称、存続期間など登録許可証
生命保険金保険会社名、証券番号、受取人、金額保険証券など
貸金債権、売掛債権など相手方名、金額、利息、満期、消滅時効など借用書
売掛金台帳な
裁判上の損害賠償請求権原告、被告であるにかかわらず、民事裁判に関する詳細訴状の控
借入金貸主、金額、利息、支払期限、支払条件など借用書・金銭消費貸借契約書の控
以上、法定相続人、遺贈したい人の情報、財産目録が完成したら、いよいよ遺言書作成の段階です。遺言書には自筆証書遺言公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類がありますが、この後、自筆証書遺言と公正証書遺言について詳しく紹介したいと思います。

当事務所は相続・遺言・遺産分割・家庭裁判所への申し立て等多数の家事事件を取り扱っておりますので、お気軽にご相談ください。