遺言

遺言書でできること


遺言は、自分の死後、残った自分の財産の処分方法などを言い残す手段であり、被相続人の最後の意思表示でもあります。
よくドラマなどに出てくる「遺書」については、財産の処分方法が明示されていないので、遺言とはいいません。被相続人が、相続人や受遺者に自分の意思を尊重してもらいたい場合は、少なくとも遺言を残す必要があります。 
遺言は満15歳以上であれば自由にできますが、遺言の方法(遺言方式)は民法960条で規定されており、この方式によらない遺言は法律上何の効力も持たないとされています。


 遺言の方式
普  通  方  式特  別  方  式
自筆証書遺言
一般危急時遺言
公正証書遺言
難船危急時遺言
秘密証書遺言
一般隔絶地遺言
船舶隔絶地遺言
なお、特別方式の遺言は一般的にはあまり発生しないので、本HPでは主に普通方式の遺言についてのみ紹介することにいたします。

遺言でできること(遺言事項)

民法では遺言に記載して法的効力を生じる事項を定めており、これを遺言事項といいます。


身分に関する事項


子の認知(781条2項)

婚姻していない女性との間の子を認知することができます

未成年後見人の指定、未成年後見監督人の指定(839条)

自分の死亡により親権者がいなくなる未成年の子について後見人を指定できます。また、その監督人を指定できます。

相続及び財産処分に関する事項



相続人の廃除および廃除の取消し(893、894条)

相続人の廃除または廃除の取消しの意思を表示できます。

相続分の指定及びその委託(902条1項)

法定相続分と異なる相続分を指定できます

遺産分割の方法の指定およびその委託(908条前段)

誰にどの財産を相続させるかなどを指定できます

遺産分割の禁止(908条後段)

死後5年以内で遺産の分割を禁止できます

遺贈の減殺方法の指定(1034条但書)

遺留分を侵害する遺贈が複数ある場合に、減殺の順序や割合を指定できます

共同相続人の間の担保責任の指定(914条)

特定の相続人が取得した財産に瑕疵(欠陥)があった場合、他の共同相続人はその損失を相続分の割合で分担しなければならないという民法の規定を変更できます。

遺贈(964条)

相続人または相続人以外の者に財産を与えることができます

一般財団法人の設立(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律152条2項)★

財団法人設立を目的とした寄附の意思を表示できます

信託の設定(信託法3条2号)

信託銀行に財産を信託する旨の意思を表示できます

生命保険金の受取人の指定変更(保険法44条1項)

生命保険金の受取人指定を変更することができます

遺言の執行に関する事項

遺言執行者の指定または指定の委託(1006条)

遺言の内容を実行してもらうための遺言執行者を指定できます。あるいは遺言執行者を第三者に指定してもらうよう委託することができます。

解釈上認められる事項

特別受益の持戻しの免除(903条3項)

生前贈与を相続分に反映させない旨の意思を表示できます

祭祀承継者の指定(897条1項)

先祖の墳墓や仏壇などの承継者を指定できます

上記の中で、印がついた項目は生前でも可能な行為です。

当事務所は相続・遺言・遺産分割・家庭裁判所への申し立て等多数の家事事件を取り扱っておりますので、お気軽にご相談ください。