遺言Q&A

目次

ここでは主に遺言に関してよくある質問と回答を掲載しています。



ビデオでの遺言は有効か

Q 以前アメリカの映画で余命わずかな人がビデオで遺言を残しているのを見ました。私もビデオで遺言を残したいのですか可能ですか?
A 残念ながら日本ではビデオでの遺言は認められていません。遺言の方式は民法967条以下で厳格に定められているからです。ビデオの場合は偽造、変造の可能性もあります。
ただ、民法で定められた方式に則った遺言を残し、かつビデオも残しておくと遺言書だけでは伝わらない遺言者の思いがより伝わり、相続人間の無用の争いを防ぐ有効な材料になるでしょう。


代筆での遺言

Q 遺言書を書きたいのですが、私は手が不自由です。そのような場合は、誰かに代筆してもらうことは可能ですか?
A 代筆による遺言書は無効です。ただし、遺言書の下書きを代筆してもらって、これを公正証書遺言にするのであれば問題ありません。


遺言書の字が読めない

Q 先日亡くなった父はかなりくせのある字を書く人でしたが、遺言書を残していることがわかりました。ですが、案の定字が読めません。こういう場合どのようにすればいいのでしょうか?
A 遺言書に書かれた字が読めない場合は、自筆証書遺言か秘密証書遺言でしょうから、裁判所で検認手続きを経た後、鑑定を依頼しましょう。鑑定先は裁判所または専門家がよいでしょう。

夫婦が共同で遺言書を作れるか

Q 老後のことを考え、夫婦で共同して遺言書を書こうと思っています。どうせなら夫婦で共同の遺言書を書こうと思いますが、問題ありませんか?
A いえ、問題あります。たとえ仲の良い夫婦であっても、同一の証書で遺言をすることは禁止されています。これを共同遺言といいますが、民法上のどの遺言方式でつくっても無効です。

認知症の方の遺言

Q 重度の認知症を患ってた母が、自分が死んだら財産のすべてを私の兄に相続させるという遺言を残して、先日亡くなりました。この遺言は兄夫婦と母が旅行に行ったときに書いたものだそうです。この遺言は有効なのでしょうか?
A 遺言者の症状が重く、遺言の意義、内容を理解できない状況でつくられた遺言は、無効となる可能性があります。
ただ、認知症を患っていたからといって直ちに遺言能力を有しないということはできません。その場合は、遺言者の生活状況、精神状態、主治医等の診断内容、遺言内容、遺言作成の状況などから遺言能力の有無が判断されます。そのうえで、遺言者本人が自分の意思で書いたものと判断されたらその遺言は有効になる可能性があります。
なお、遺言者が後見開始の審判を受けている成年後見人である場合は、遺言者が判断能力を一時回復する時があれば、その時に医師2人以上の立会いを得て、遺言者の意思により遺言を作成することができます。

このように判断能力のない者が遺言書をつくると何かとトラブルになることが多いので、遺言書は判断能力のあるうちに書くことをおすすめします。

遺言書を見つけた時は

Q 先日亡くなった父の机を整理していたとき、封印された遺言書を見つけました。どのような手続きをとればよいのでしょうか?
A 遺言書を見つけたら速やかに家庭裁判所で遺言の検認手続きをしてください。検認は相続人またはその代理人の立会いのうえ、家庭裁判所において開封しなければなりません。これは封印していない遺言書でも同じ扱いです。もし、封を破ったり、検認を怠ったときは5万円以下の過料に処せられることになっていますので、注意してください。ただ、遺言書自体の効力には影響はありません。


遺言書が2つあるとき

Q 母の死後、日付の異なる2つの遺言書が出てきました。どちらが有効なのですか?
A 2つの遺言書の内容が矛盾しない場合は、両方とも有効ですが、矛盾する場合は後の日付の遺言により、前の遺言が撤回されたものと扱われることになっています。


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