土地信託の活用

土地信託の活用

相続税対策の1つの方法に、「土地信託」というのがあります。これは土地所有者と信託銀行が共同で行う土地活用事業です。所有する土地を信託銀行に預け、信託銀行がその土地を有効に活用して、所有者に利益を分配する制度です。

信託銀行は、土地所有者から土地の信託を受けて、土地の所有権を移転してもらいます。その土地の上に建物を建設し、テナントに賃貸し、その家賃を土地所有者に配当として交付するのです。信託期間が終わった後は、土地は建物付きで土地所有者に返還されます。

信託された土地は貸しビルや賃貸マンションが建つことが多いので、その土地は貸家建付地として評価されます。つまり相続財産としての価額を抑える効果があるんです。建物を建てるための借入金は債務控除でもちろんマイナスできますし、建設や事業運営、建物管理、資金繰りなどもすべて信託銀行に任せることができるので、土地所有者としては助かる制度といえます。


土地信託の流れ


1.土地所有者と信託銀行との間で信託契約を結ぶ。これにより信託された土地の所有権は信託銀行に移ります。
2.土地所有者は信託受益権を取得する。
3.信託銀行が、建設会社に工事を発注。
4.信託銀行が、建設代金として、金融機関から借入れを行う。
5.信託銀行が、建物の賃貸事業を行って、賃料を得る。
6.受け取った賃料を元利金の返済と諸経費の支払いに充てられる。
7.信託銀行が信託手数料を差し引いた事業収益が土地所有者に信託配当として給付される。
8.20~30年の信託期間が終了すれば、信託財産である土地と建物が元の土地所有者に返還される。
 

メリットとデメリット


メリット
デメリット
信託終了後に土地と建物が返還される
収益が保証されているわけではない
信託会社が資金を調達し、その他の業務もすべてやってくれる
商業地でしかも事業に適した面積の土地でないと信託できない
土地所有者も事業に参加することができる
信託手数料が引かれるので、信託配当が低くなる
信託期間中に他に資金が必要になったときは、信託受益権を売却したり、それを担保に借入れをすることができる
信託登記に登録免許税が、信託配当に所得税がかかる
当事務所は相続・遺言・遺産分割・家庭裁判所への申立書の作成等多数の家事事件を取り扱っておりますので、お気軽にご相談ください。