公正証書遺言

公正証書遺言

公正証書遺言は、法律のプロである公証人によって作成され、公文書として公証役場という場所に保管される、最も安全で確実な遺言方式です。公証人とは、法務大臣が、判事、検事、弁護士、法務局長経験者の中から任命する法務局所属の特別公務員のことです。ですので、法律面での不備はほとんど発生しないといえます。

公正証書遺言の特徴

遺言者が口頭で述べた(口授といいます)内容を、公証人が筆記する
2人以上の証人が必要
自分で筆記する必要がない

公正証書遺言のメリット

法律のプロ、公証人が作成するので、遺言が無効になるおそれが少ない
原本が公証役場で20年間保管されるので、偽造、変造の心配がなく、万一の
破棄、紛失の場合も謄本を請求できる
日本全国の公証役場で、故人が公正証書遺言を残しているか否か照会できる

公正証書遺言のデメリット



自筆証書遺言より公証人手数料という費用がかかる
公証役場に出向くという手間がかかる(公証人が出張することもできる)
証人に内容を知られてしまう(秘密にできない)


公正証書遺言を特に作ったほうがいい場合


次のような場合は自筆証書遺言ではなく公正証書遺言にしてください。
内容的に確実な遺言書を作りたい
自分が死んだら相続手続きがスムーズにいくようにしたい
相続人以外の第三者に遺贈したい
体が不自由で自分では書くことができない
遺言書を確実に保管してもらいたい
いろいろと相談しながら作りたい


公証役場に行く前に


自筆証書遺言は簡単に作成できますが、不完全ですと法的効力が生じないこともあります。
公正証書遺言は、公証人作ります。信頼のある遺言書形式ですが、これを作成しておけば必ずそのとおりになるとは限りません。場合によっては、内容その他で訴訟になるケースも珍しくはありません。
司法書士に依頼せず、直接公証役場で作成なさる方もいますが、司法書士はあらかじめ事情を聴取して、本人の希望すると思われる内容にまとめ、遺言書案を作成して、公証人と打合せまでしておきます。
秘密証書遺言は、公証役場で内容を確認しなくてよいので、なおさら司法書士書士への相談をお勧めします。内容は秘密にしておけますが、証人は2名必要です。
公正証書遺言と秘密証書遺言には遺言書作成手続きに「証人」が必要です。ご自分の知人・友人・遠縁の親戚などを証人にしたくない人も多いので、必要ならば当職がなることもできます。


公証人手数料


公正証書遺言を作る際は、公証人手数料がかかります。
種    類区    分金    額
証書の作成手数料(財産の価額)
100万円以下
100万円超 200万円以下
200万円超 500万円以下
500万円超 1,000万円以下
1,000万円超 3,000万円以下
3,000万円超 5,000万円以下
5,000万円超 1億円以下

1億円超3億円以下

3億円超10億円以下

10億円超の部分

5,000円
7,000円
11,000円
17,000円
23,000円
29,000円
43,000円

5,000万円ごとに13,000円を加算
5,000万円ごとに11,000円を加算
5,000万円ごとに8,000円を加算
遺言手数料全体の財産が1億円の場合11,000を加算
遺言取消証書作成手数料
11,000(例外あり)
役場外執務手数料病床執務手数料通常の作成手数料の2分の1を加算
日当1日20,000円(4時間以内10,000円)
旅費実費
証書の用紙代証書原本が4枚を超える場合超過1枚ごとに250円
正本・謄本の交付
1枚につき250円
公正証書遺言をつくる手順
遺言の原案を作成
誰を証人にするか決める
公証役場に出向き、詳細を打ち合わせ
公証人が作った証書案を検討
これ以降は作成日当日、公証役場での作業になります
証人と一緒に公証役場へ出頭する
公証人による証書読み合わせに立ち会う
遺言者と証人が署名押印する
公証人が署名押印する
公正証書遺言の完成
これ以降は遺言者の死亡後の手続きになります
遺言書を発見する
遺言書の内容を確認する(家庭裁判所の検認は不要)
遺言書の内容を実行する
なお、打ち合わせ時に必要な書類は以下のようなものがあります。
 遺言者の印鑑証明書
 遺言者と相続人の続柄がわかる戸籍謄本
 第三者に遺贈の場合は受遺者の住民票
 不動産を所有している場合は登記事項証明書と固定資産評価証明書
 証人予定者の住所、氏名、生年月日、職業を書いたもの
 その他公証人から持参要請があったもの

当事務所は相続・遺言・遺産分割・家庭裁判所への申立書の作成等多数の家事事件を取り扱っておりますので、お気軽にご相談ください。